捨てないパン屋特集

パンを捨てないための工夫とは

捨てないパン屋さんこと「ブーランジェリー・ドリアン」の店主・田村陽至さんが、パンを捨てないためにしている工夫は何かを聞いてみました。

 

 

田村 陽至(たむら ようじ) 
広島市南区生まれ。北海道や沖縄で山ガイド・環境教育の修行後、モンゴルに2年間滞在し、エコツアーを企画。2004年からパン屋「ドリアン」を経営。2012年に1年間休業してフランスで修行。

 

パンを捨てない秘訣はお客さんを大切にすること

−−パンを捨てないためにしている工夫はありますか?

1番大きいのはネットの定期購入ですね。

昔は定期購入がシステム的にできなかったんですが、それができるようになってくると、売れ残りの波がないんですよ。

 

これまでは週に1回郵送していたのを週2回にして、お店のオープンを週3日に減らしました。

100人くらいの常連さんがいて、1日に来るのが30人くらいでしょう。だったらオープンを週4日にするとちょっと多いんですよ。

定期便で売り上げの底辺を確保できているので、それがなかったら他の曜日にギャンブル的に売らなきゃいけないから、そしたら残りますよね。

あとは、長持ちするパンを作ることと、習慣になるパンを作ることと、そして、常連さんを大切にすることです。

今の観点で言うと常連さんは本当に命なんですよ。

常連さんになったら言われなくてもパンを取っておくとか、テレビ取材を受ける際も常連さんが喜ぶ取材しか受けないです。

例えば、「日頃はこんな風に焼いてますよ」とかは万人受けするけど、今更種類を紹介したりはやらないです。

いつもよりお客さんが並んでいても、常連さんの時は立ち話を始めたりもします。

そこで平等にしちゃうと、「何で毎週来ている私とテレビ見てきた人と平等にするのよ」みたいになってしまうので、そこは後ろに並んでいても、常連さんを大事にします。

常連さんも欲しいけど、新規の顧客も欲しいっていう浮気心を持つとダメですよ。

他にも、パンの種類を増やしてみようとか思うと、異なる種類のお客さんって一つのお店に同居しないので、どちらかが静かに引くんです。

だからそういう浮気はしないんです。

 

一途にそのメッセージを発信し続けると安定して来ます。要は捨てるのって波ですから。なぜ恋愛では浮気はダメなのに商売では浮気をしろって教えるのが分からないです。

客層は広げちゃダメですね。

 

パンを捨てないためにしている工夫は「お客さんを大切にすること」。

常連さんを大切にし、ファンの心をしっかり掴んで離さない田村さんのお店には、パンを買うために並ぶだけではなく、田村さんと話をするために来るお客さんも多いいです。

お客さんを大切にすることがパンを捨てない秘訣にも繋がっていくのですね。

ABOUT ME
RORO
フリーランスのライター。大学卒業後、ピースボートで世界一周の旅に出る。「ソトコトオンライン」で連載記事執筆、「TABIPPO.NET」でイベントレポート執筆・編集を行ったのち、現在はSAGOJOライターとして活動。半農半Xを目指し農ある暮らしを取り入れ中。これまでの経験をもとに「自分らしく生きる」をテーマとしたコンテンツをお届けします。