広島市にある捨てないパン屋「ブーランジェリー・ドリアン」の特集記事をお届けしています。今回は田村さんがおすすめする旅先で食べて欲しいパンについて紹介します。
捨てないパン屋さんとは?
パン業界に革命をもたらす捨てないパン屋さんの働き方
捨てないパン屋は旅するパン屋
田村 陽至(たむら ようじ)
広島市南区生まれ。北海道や沖縄で山ガイド・環境教育の修行後、モンゴルに2年間滞在し、エコツアーを企画。2004年からパン屋「ドリアン」を経営。2012年に1年間休業してフランスで修行。
パン職人がおすすめ!旅先で食べたいパン
−−この国のこのパンは旅人に食べて欲しいとかはありますか?
日本人にはガリシアのパンがおすすめですね。
スペインの左上がガリシア地方って言うんですけど、その辺りはスペインの中でパンの本場って言われています。
そこの気候が日本に少し似ていて、湿度があって海沿いで、栗の木とかもあって、セミとかも泣いてるんですよね。パンは美味しいし、料理も日本人に合うと思います。
ヨーロッパにはパンの本場がピンポイントであって、イタリアのアルタムーラってところも美味しいです。イタリアのアルタムーラは、また日本とは違う美味しさがあります。
フランス・ドイツのパンは美味しいとしても日本人の味覚には合わない。
ドイツはライ麦パンの中にフェンネルシードって香辛料が大量に入っています。
ソーセージとかをいっぱい食べるから、清涼感があるものが欲しくてライ麦パンの中に入れてるんだと思いますが、これが無ければ美味しいのになって思います。
フランスは昔、美味しかったかもしれないですけど、パリとかは真っ白い生焼けのバケットパンばかりです。
リオンと呼ばれている場所は食の都なので、そこは美味しいですし、よく焼いています。どこもやっぱり都会に美味しいところはないです。
それでも日本よりは美味しいですよ。
日本のパン屋さんの本とかでよく、焼く前の生地の状態を「これはノアゼットの香りがしますね」っていう表現があります。
ノアゼットってヘーゼルナッツのことなんですけど、日本でいくら生地の匂いを嗅いでもそんな匂いしないんですよ。
でも、フランスに行って初めて捏ねてるミキサーの横を通りかかった時に、ノアゼットの香りがしました。それぐらい向こうの小麦は美味しいですし、やっぱりパンの歴史が違います。
国産の小麦を使っているからか、「海外の小麦より国産の方が美味しいんですか?」ってよく聞かれるんですけど、海外の方が美味しいですよ。
日本のお米で寿司を握ったのと向こうのお米で寿司を握ったのと、どっちが美味しいですか、って聞いてるようなものなので。
だから、日本の粉を使うのはそれ以外の理由です。
スペインのガリシア地方とイタリアのアルタムーラは、日本人の口に合うパンが食べられるとのことでした。
バケットのイメージが強いフランスのパンは時代とともに変化を遂げていているということは少し意外でした。スペインやイタリアに行った際はぜひ訪れてみてください。