捨てないパン屋さんこと「ブーランジェリー・ドリアン」のインタビュー記事第5弾!今回は、食事にゆっくり時間をかけるヨーロッパの文化について紹介します。
捨てないパン屋さんとは?
パン業界に革命をもたらす捨てないパン屋さんの働き方
捨てないパン屋は旅するパン屋
田村 陽至(たむら ようじ)
広島市南区生まれ。北海道や沖縄で山ガイド・環境教育の修行後、モンゴルに2年間滞在し、エコツアーを企画。2004年からパン屋「ドリアン」を経営。2012年に1年間休業してフランスで修行。
ヨーロッパは食事に時間を費やす文化
−−日本との文化の違いを感じたことはありますか?

ヨーロッパで住ませてもらったから思うんですけど、食料自給率が100%を超えているから、安い野菜や肉でも、日本でいうと良い物なんですよ。
市場が豊かな国は豊かです。たぶん、ヨーロッパの貧困層は日本の富裕層より良い物を食べています。
ただ、ヨーロッパから日本に帰ってくると食べられる素材が少ないと感じます。
ヨーロッパはどこに行っても、食事はすごいシンプルだけど贅沢。文化が違うからか、ゆっくり食べるし食事にかける時間が長いです。
隣の人を見ながら食べないと自分だけ先に食べ終わっちゃうんですよ。

フランス人は食べるのが遅くて、休みの日とか人が来てたりすると5時間くらい食事に時間をかけますからね。
日本人はヨーロッパの人はたくさん飲むと思いがちですが、あれは誤解で、飲むのが遅いんですよ。シャンパン1杯に1時間くらいかけますからね。
日本だったら5分とかで飲むのに、時間をかけて楽しんでるのはすごいことだと思いますよ。
エスプレッソも2時間くらいかけて飲みますからね。エスプレッソ1杯で本を山積みにして、カフェで読んでたりとか、クロスワードをやっていたりとかします。

パリの人は仕事帰りでも、日本みたいに居酒屋に行ってガブガブ飲む感じではなく、1杯のお酒を友達とゆっくり飲んで帰るから、家に帰っても家族と食事をする時間が取れます。
家に帰ってもお腹がいっぱいだからごはんは要らないってことがないので、喧嘩になることもありませんからね。
自分は2回目にフランスに行った時、食事の風景を見て驚かされました。食事の時間の掛け方がとにかくすごいんですよ。
食べているものは一つ一つは質素だけど、トータルで見るとそこそこ豪華で、この違いは何なんだろうと思いました。
日本人は食事に時間を掛けることはあまりなく、家族との時間をないがしろにしがちですが、ヨーロッパのようにゆっくりと時間を掛けて食事を楽しむことができれば人間関係や心もより豊かになるような気がしました。
心の豊かさは毎日のほんの些細な出来事から得られることができるのだと思います。
スペイン巡礼旅編はこちら。
捨てないパン屋さんの旅「スペイン巡礼編」